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2009年12月 8日 (火)

君は「さなぎの食堂」を知ってるか

 横浜・寿町に行ったのはかれこれ10年以上も前のことになる(はずだ)。当時はまだ大学院生で向学心に燃え、不謹慎ながら好奇心も手伝い、「ドヤ街」「寄せ場」というのがどういうところなのか覗いてみたいという思いがあり、「越冬闘争」(※1)に参加した。ただ、もちろんそれ以上に真っ当な正義感もあったと思う。だとしても、そこに住む人からすれば鬱陶しかったことには違いないのだが。

 今回、寿町を再訪した一番の目的は「さなぎの食堂」で食事をとることだ。

◆さなぎの食堂 
 http://www.sanagitachi.com/cn35/cn31/pg100.html
 http://blog.goo.ne.jp/sanagikitchen/

Img_0395_2

 今年、PARC自由学校(※2)の「コンビニ調査団! 歩いて・見て・調べよう」という講座の一コマを持つことになっていたのだが、それに便乗し、図々しくも自分以外の回にも顔を出させてもらっている。
 これまでいろんな側面からコンビニというものを受講生の皆さんと見てきた。その中で、ちょうどコンビニ弁当の値引き販売をめぐる報道がされていた時期と重なったこともあり、共通の問題意識としてコンビニ弁当等の廃棄が挙げられた。
 『週刊東洋経済』(2009年8月8日号 特集「コンビニ大異変!」)によれば、コンビニ弁当の廃棄処分に対し90.4%もの人が「もったいない」と回答し、コンビニ弁当の値引き販売を歓迎する声は8割を超える。しかし、オーナーサイドからすれば概ねが値引き販売には反対だという。当然、廃棄処分にかかるコストは削減できるものの、売り上げという側面から見た場合、その行為がトータルで見て確実に儲けにつながるかと言えば、確信はない。皮算用すらできないところに二の足を踏んでいる要因がある。

 さて、そこで「さなぎの食堂」である。ここは2006年6月よりローソンと提携し、関内界隈の店舗から余剰食品(ローソン内での販売期限は切れているが、賞味期限にはギリギリなっていない商品)を譲り受けている。それを食材として再利用し、メニューが提供されている。あいだに行政(横浜市)がコーディネーター的な役割で入っていることもこのサイクルを回すのに一役買っている。これらは「横浜型もったいない運動」とも称され、循環型社会の一形態と言ってもいいものだろう。
 その“モデル”を見るのが今回の目的だ。

 我々4人(立教大学・准教授の佐野さん、PARCスタッフの高橋さん、おぐち自給農園園主の小口さんと私)が食堂に入ったのは金曜のお昼時の少し前(11:20頃)。しかし、店内はすでにほぼ満員。店の装いは結構こじゃれてて、かなり清潔感がある。
 それぞれカキフライ定食、サバの味噌煮定食、豚の生姜焼き定食なんぞを頼むが、ボリューム・質ともにかなりのお得感である(写真は私がオーダーしたカキフライ定食¥400)。小鉢もついて栄養バランスが良さそうで、これなら毎日通いたくもなる。
 Img_0397

 ランチタイムを終え、一段落したところでシェフにお話を伺うことができた。「あの低価格で、しかも質を保証するには、やはりコンビニの廃棄弁当を再利用されているからですか」と訊いたところ、意外にもそれは全体の1割にも満たない程度だという。聞いていると、さまざまな企業努力(NPO法人なので”NPO努力”?)によるコスト削減と寄付、そして寿町の人たちに支えられているのが、どうもその要因らしい。
 私たちコンビニ調査団の思惑からは大きくそれることにはなったが、厨房にいるスタッフとパート職員と路上生活者の三者が、職場であり居場所である「さなぎの食堂」で一堂に会している姿がとても微笑ましい。

 NPO法人「さなぎ達」事務局長の桜井さんのお話では、路上生活者が「さなぎの食堂」に関わることの意義はとても大きいと言う。とにかく社会から疎外され続けてきた路上生活者は、最終的に自らバリアを張り、孤立感を極めていく。「経済の貧困」はもちろんのこと、「関係の貧困」(※3)が持つ問題は想像を絶するほど深くなっている。
 しかし、「さなぎの食堂」では人とのやり取りがあり、グループで作業を進めて行かなければならない状況下にある。そこにいることが“体温”を取り戻す時間となり、私たちへの温かい食事となって届けられている。

 帰り道にふと思った。
 行政、企業と組みながら近所のコンビニの余剰食品をかき集めて再利用する。そして、それを素材として、互いに声をかけられる範囲にいるスタッフ、パート職員、路上生活者で温かい食事を作り、提供していく。このサイクルは、もしや新しい形(都市型)の「地産地消」の姿かもしれないな、と。
 そこには無農薬の野菜や旬のものだけでなく、人と人との関係性がしっかりと編み込まれている。

 
※1 野宿・日雇い労働者にとって、年末年始は仕事が全くなくなり、行政の窓口も閉まり、厳しい状況となる。ドヤに泊まるお金も食料を買うお金も十分でなく、その上、寒風にさらされ、生き延びるのには過酷な期間なのである。そのため、当事者と支援者で炊き出し、夜回り、夜警など、この期間を乗り切るための活動が行われる。また、これらの取り組み自体が、十分な対応をしてこない行政への抵抗の表現ともなっている。
※2 PARC自由学校 http://www.parc-jp.org/
※3 生田武志『貧困を考えよう』(岩波ジュニア新書)

【参考】
・NPO法人さなぎ達 http://www.sanagitachi.com/
・セカンドハーベストジャパン
  http://ja.wikipedia.org/wiki/セカンドハーベストジャパン

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