骨髄バンク支援

  • 走り続けて、骨髄バンク支援!
2016年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

« かき氷と温暖化 | トップページ | パリ20区、僕たちのクラス »

2010年7月29日 (木)

夏と野球と根性論

 今年、学内でランニング愛好会を立ち上げた。愛称は「拓大楽ラン倶楽部(TRC)」。子どもの頃、体育の時間や運動会が嫌いだった人でも“走ること”の楽しさを純粋に味わえるようになってもらい、いつかはフルマラソンを完走しよう、というのが立ち上げの動機である(大学の教員としては、姑息かもしれないが「フルマラソンを完走しました」というのは、忍耐力や目標達成力の証であって、就活で使えるぞ!というのもないわけではない)。たいがいの人は「ブカツ」というもので、「競走して走る」か「全速力で走る」ことしか“させられて”ないので、楽しく“自らの思いで”走ることを常に念頭においているサークルなのである。

 その初っ端の企画として、火曜日、「ランナーズスパ」を行った。「天然温泉いこいの湯 多摩境店」で提供しているサービスなのだが、店内に雑誌「ランナーズ」が置いているところから察するに、おそらく店長あたりがランニング好きな人で、それが高じて出てきた企画なのではないだろうか。
 仕組みとしては、施設裏にある公園のジョギングコース(往復約6km強。非常に緑多く、ウッドチップコースがあり、少々のアップダウンもあり。途中、展望がひらけるところも木陰もあり、この上なく気持ちいい)を好きなだけジョギングし、その間、ロッカーを貸してくれる。十分に汗をかいたら、温泉に戻り、これまた好きなだけ各種お風呂を満喫できる。しめて、入館料(平日700円)+300円。家から遠くなければ、しばしば利用したい素敵なサービスである。

 さて、まだ登録メンバーが少ないので、顧問の私含め、参加は5名。とはいえ、記念すべき実質的な初活動ゆえ、ワクワク感がある。が、それも束の間。走りはじめが11時少し前だったため、猛暑の太陽が厳しくランナーを照りつける。いや、焦がしつける。当初、「せっかくだから2往復はしたいね」と意気込んでいたものの、全会一致で1往復であっけなく終了。ランニング後、メンバーの一人が言っていた言葉はまんざらでなく、危険を感じるほどの暑さだったのだ。「先生、これ、死にますよ」

 今、甲子園出場をかけて、地方大会で熱戦が繰り広げられている。元高校球児としては、“甲子園”という可能性にまだ望みをかけられる彼らの姿に、嫉妬するほどの羨ましさを感じる。来月初旬には全国選手権の開会式が開催されるが、大会歌である『栄冠は君に輝く』(「雲は湧き、光り溢れて♪」というあれである)が流れるたび、いまだに出られなかった悔しさがこみ上げてくる。ここまでくるとこれはトラウマであると言わざるを得ない。
 高校3年間を甲子園にかけたことに今だ後悔はしていないし、あれ以上に肉体的に苦しい思いことはなく、それに耐えたことが生きる上での下支えになっているとも信じている。そこで得た仲間と経験は何にも代え難い。
 が、「しかし」である。あそこまでやる必要があったのか、との思いもある。「先生、これ、死にますよ」とは、真夏の「ブカツ」の時に頭をよぎった言葉でもあったことがふつふつとよみがえってくる。

 私が卒業した岩手県立水沢高校は文武両道をモットーにしていたので、まだバランスのとれた青春時代を送れたと思うので、マシだったろう。科学的なものに基づく対応も出始め、投球後のアイシングやストレッチの重要性も説かれるようになったが、それでも中学の頃までは、まだまだ根性論が隆盛で、「練習中に水は飲むな」と言われた最後の世代ではないだろうか。
 今はだいぶ改善されているようだが、まだまだ指導者にはそのマインドが奥底に残っているように思う。近所の高校の野球部は休みなく毎日練習に明け暮れているし、小さなリトルリーガーたちも土日だというのに、日が暮れかかっている時分まで怒鳴られながらノックを受けている。私も自分の子どもには何かスポーツをさせたいと思うが、土日を丸々それだけに使わせるような指導者のいる団体は御免である。

 同じ疑問を桑田真澄氏も持っていた。彼は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程の修士論文で最優秀論文賞をとった。タイトルは「『野球道』の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」。
 彼の研究の成果としてあげる主張が、次の「野球を好きになる7つの道」である。

 1.練習時間を減らそう
 2.ダッシュは全力10本
 3.どんどんミスしよう
 4.勝利ばかり追わない
 5.勉強や遊びを大切に
 6.米国を手本にしない
 7.その大声、無駄では?

 詳しくは下記の「参考」をご覧いただきたいが、桑田氏の主張に私は概ね賛同する。 スポーツエリートを育てる人からは批判を受ける内容かもしれないが、あまりにいびつなスポーツのあり方は、マジョリティであるエリート以外の人のスポーツ文化を貧相にしてしまう。無論、エリート育成も悪くはないが、「ブカツ」に見られるこれまでのスポーツのあり方は、スポーツエリートでない人に対してまでも一辺倒な指導法を施してきたことに問題を指摘すべき点がある。

 最後に、イチローが小学6年生の時に書いたと言われる日記の一部を紹介しよう。

 僕の夢は一流のプロ野球選手になることです。
そのためには中学、高校と全国大会に出て活躍しなければなりません。
活躍できるようになるためには練習が必要です。 僕は三才の時から練習を始めています。 三才から七才では半年くらいやっていましたが、三年生の時から今までは三百六十五日中三百六十日は激しい練習をやっています。だから、一週間中で友達と遊べる時間は五、六時間です。
そんなに練習をやっているのだから、必ずプロ野球選手になると思います。そして、その球団は中日ドラゴンズか、西武ライオンズです。
ドラフト一位で契約金は一億円以上が目標です。 僕が自信のあるのは投手か打撃です。
                       (致知出版社『心に響く小さな5つの物語』に所収)

 この日記の最後には、鈴木一朗君が一流選手になったら、お世話になった人に招待券を配って応援してもらうのも夢の一つだと語っているくだりもある。小学生にしては、本当にしっかりしている。この日記に感銘する人も多いだろう。ビジネスの方面では、「ビジョンを持つこと」「具体的目標の設定」という意味で評価しているブログもある。
 ただし、私は読んで少々複雑な思いになった。あと1ヶ月ほどで産まれてくる我が子にはそこまで頑張らなくていいよと言ってあげたいし、自分の人生もイチローとは別のものであってよかったとも思っている。

【参考】
◇ 「天然温泉いこいの湯 多摩境店」 http://www.ikoinoyu.com/
◇ 「ランナーズスパ」 http://ikoinoyutamasakai.blog6.fc2.com/blog-entry-15.html
 ※3時間コースは入館料+300円、フリープランは入館料+500円
◇ asahi.com 高校野球コラム「桑田真澄 球児たちへ」
 http://www2.asahi.com/koshien/column/TKY201007200358.html

« かき氷と温暖化 | トップページ | パリ20区、僕たちのクラス »

スポーツ」カテゴリの記事

コメント

ランナーズスパ、この暑い中でもなにかそそられるものがありますね。
最近は、サボりランナーなので、最後に「温泉で入浴」ということがあると
走るのも楽しくなります。sad
多摩川縁に住んでいたときには、土手を周って帰ってきてから、
我が家で浴びるシャワーがとても気持ちよかったですね。scissors
北海道マラソンに向けてのトレーニングで、ずいぶん気合が入っていました。punch
2ヶ月前捻挫して、それ以来、左足に少し違和感を感じていましたが、
回復してきたようです。happy01

桑田選手の記事読みました。
高校1年のときに監督に合同練習は3時間
にしましょうと提案したことに驚きました。
並みの新入部員じゃないですね。

「興味が湧くから、上達しようとする」
これは、飲んだ後のバッティングセンター(歌舞伎町など)で
一番実践されているように思われます(笑)。

沖縄の興南高校が実践する
「五感を研ぎ澄ました土台の上でのチームプレーっというのが
現状、野球での自分の理想型です。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549757/49001931

この記事へのトラックバック一覧です: 夏と野球と根性論:

« かき氷と温暖化 | トップページ | パリ20区、僕たちのクラス »