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2010年8月24日 (火)

高尾山は生きている

 7月31日15時に、国道20号線と町田街道をつなぐ八王子南バイパスが開通した。私が働く拓殖大学八王子キャンパスの目と鼻の先のことだ。これで、平日の20号線町田街道入口交差点や休日の高尾山口駅前の渋滞が緩和されるとの触れ込みである。時々、大学まで車通勤をすることがあるが、実感できるほど渋滞が緩和されたとは言えない。交通量調査をすれば、5%や10%の交通量が減少し、成果はあったと結果が伴ったことになるのであろうが、何十秒か交差点を早く通過できたぐらいで私は“利便性が上がった”とは体感できない。

 それでも一般的には喜ばしいことで、心待ちにしていた人はきっと多いに違いない。まだ完成は先のことだが、圏央道八王子南インターチェンジとの連結もされるのであるから、便利さがより増え、なおさらである。私もインターチェンジができれば、圏央道を使った場合、通勤時間は半減する可能性がある。
 だとしても、複雑な思いを拭い去れないのは、高尾山を切り裂いての開通だからであろうか。たまたま勤務地が高尾山の麓にあるから、その工事の様子が目に入り、高尾山が悲鳴をあげているようにも見えてしまう。そういった思いでモノを語るのは、幼稚で情緒的すぎると言われるだろうか。

 私自身はまだこのバイパスを通ったことはないが、先日、入口の前を通った時、「トンネル内湿潤」(だったかな)との立て看板を見た。実際、私のゼミの学生は一度バイクで通ったことがあるのだそうだが、外は晴れているのに「路面が濡れていた」と話していた(すでに開通時にトンネルを通り抜ける車からの映像がYouTubeにアップされていて、それで路面が濡れている様子が確認できます→こちらから)。
 その不思議さへの解答は単純明快である。高尾山は生きているからだ。常に呼吸をし、血流がある。皮肉なことに、高尾山の体内のバランスは、ナイフを突き刺すようにトンネルが掘られることで崩れてしまい、「出血」してしまっている状態なのだ。そのことに気づかさせてくれたのは虔十(けんじゅう)の会代表の坂田昌子さんである。

 先週19〜20日、1泊2日で石川ゼミの合宿を開催したのだが、初日にゲスト講師として坂田さんにご協力いただき、高尾山フィールドワークを実施してもらった。ゼミでは「Sustainability(持続可能性)」をテーマにしているのだが、テーマが大きすぎるためか、捉えどころがなく、どうしてもまだ自分たちの問題としきれていない。そこで今年は自分たちの身近なところのSustainabilityを考えてほしい(あわよくば活動につながってほしい)との思いで、高尾山に焦点を当てることにした。

 高尾山には、1300種を超える植物が自生しており、これはイギリス一国分に匹敵する多さである。そればかりでなく、昆虫が5000種いて、日本三大生息地となっている。鳥の数は150種で、日本にいる鳥の3分の1が高尾山で見られることになる。標高600mにも満たない小さな山にこれだけの生物多様性があるのである。ミシュランで評価されることよりも、学生たちにとっては遠足で登るような身近な高尾山がそれだけの包容力を持っていることに驚きを覚えたようである。
 その多様性が保持できているのは、坂田さんによれば“水の豊かさ”が何よりの理由であるらしい。山を上り下りして15kmほどに及んだフィールドワークは、普段、運動不足の学生にはかなりこたえたようだが、ところどころにあった湧水は一服の清涼剤となったし、岩肌にある苔から滴り落ちる水は、15年の歳月を高尾山の中を巡り尽くして出てきたものだと聞いた。そうした環境が動物、植物を違えることなく森羅万象を支えている。修験道がここで滝行をする理由のひとつもそこにあるのではないだろうか。(余談だが、坂田さんが「高尾山の沢の水が涸れ、滝行ができなくなったらどうします?」と建設サイドの人に訊いてみたところ、「水道を引けばいい」と無下に回答されたそうである。この感覚の違いを埋めるのは並大抵のことではない)

 合宿2日目には、フィールドワークのふりかえりを行った。彼らもまた情緒的な思いと実際の合間にジレンマを抱き、複雑な思いに至っている。それでいいのだ。たやすく答えなど出さず、どんどん悩み、とことん思考するがいい、と私は思っている。
 ただし、その時、周りが言う「実際」や「現実」などいう言葉に惑わされずに、幼稚といわれようが情緒的に感じた最初の“第一感”をスタートに自信を持って思考を始めてほしい。情緒的な思いは、問題解決をする際に程度が低いものと脇へ追いやられるが、本質的なものが隠されていると思う。事実、子どもが思うような第一感がこれまでないがしろにされてきたせいで、社会に存する多くの問題は解決されていないではないか。
 君らの第一感は単純なものかもしれないが、本質は非常にシンプルなものだと私は思っている。


自然災害で倒れた大木を横目に、高尾山フィールドワーク

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                                  虔十の会でつくったツリーハウスの上に登って、はしゃぐ

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持続可能性」カテゴリの記事

コメント

高尾山、すごいですね。

四国の私の家の近くの山(眉山 277m)では、
90種近くの鳥がいると
『日本の自然100選』朝日新聞社編 には書いて
ありますが、実際にはそんなにいるようには感じません。
今ではずいぶん減っているのではないかな?と思います。

最近、筑波山(877m)に登ってみましたが、歴史のある
良い山でした。自然観察のための歩道もありましたし、
何よりバスの便数が田舎と比べて格段に多く、アクセスが
まったく都会。高尾山もそうだと思います。

今では(昔から?)地方都市の人の方が、自然から遠い位置に
いますね。
上野の国立自然博物館の地球館の展示などをみていると、
自然に関する知的・活動的な環境の面でも、都会の充実ぶりは
圧倒的だと思いました。

経済はほどほどに、とか言うと当選しないからなあ・・・
温暖化とかで、それぞれの地域はこれから
どうなっちゃうのか不安です。

これからも、社会のいろいろな問題・ヒヤッとする話題に切り込むお話
をお聞かせください。

アジアの経済の勢いをNHKで放送していましたが、
当然の流れかなと最近は思うことが多いです。
ようやく自分たちの時代が来たと思うのは当たり前
かなと。

温暖化も進化や生物の歴史の番組を見ていたら、
あまり大きな問題にも思えなくなってきました。
温暖化になって困る地域とそうでもない地域もありそう
だなとも思います。

数年前までは、かなり心配していましたが、なかなか
大変ではあるだろうけど、世界の人たちはどうするの
かな?とか、こんな時代の曲がり角に居合わせて
ラッキーだなとさえ思うようになりました。

問題にも明るく向かっていく方が、チャンスも大きくなる
と思うし。五木寛之さんは「鬱」の時代が50年は続くだろう
と書いておられましたが、個人的には、むしろ「躁」の方が
いいのでは?と思っています。

少なくとも引き返せる点を(確か)数年前に過ぎたようにも
聞いていたことがあるので、「がんばりまっしょい!」と
むしろ消極的にならず、力を込めた方が現実的かなと
個人的には思っています。

森井さん、いつもコメントありがとうございます。
 ブログの内容と齟齬が生じているように思うかもしれませんが、私自身も意固地に「自然保護」を訴えたいわけではありません。これはゼミ合宿のふりかえりでも話したのですが、「道路建設」と「自然保護」の二者が睨み合って対立しあうような構造では問題は何も解決しないと考えています。それはゲスト講師の坂田さんも同じような考えを持っていたと思います。「言うは易く行うは難し」ですが、ゼミ生にはそこの点を考えてほしいと願っています。

追伸
 抽選に当たって、金曜日に生サンデル教授の講義を六本木ヒルズで聴いてきます!

今でも「高尾山。。。登ったんだよな」とマレーシアのときと同様に
正直あまり実感がわかないでいます(笑)

私の場合、坂田さんとは事前にメールでコンタクトを取り、HPも見たので
それなりの知識(と言えるほどではないもの)を持って実際に高尾山に
入ったわけですが、「百聞は一見にしかずだな」と思い知らされました。
どうして坂田さんはトンネル工事に対してネガティブになっているのか、
そもそも高尾山とはどういう場所なのか。。。

また、自分たちだけではどうにもできないという、じれったいというか
ジレンマというか。。。なんともいえない気持ちになりました。
最近政治の世界でも「やりたいのにできない」という場面が見えてきた
気がします。坂田さんもこんな風に思っているんだろうなと感じました。

何らかの形でもいいから自分なりの解決方法を見つけていきたいです。

いつもブログ読ませていただいております。
読むにつけ、石川さんの文章、感性、私本当に大好きです。
第一感。

「高尾山の沢の水が涸れ、滝行ができなくなったらどうします?」と建設サイドの人に訊いてみたところ、「水道を引けばいい」と無下に回答されたそうである。

というくだり。両者がぜんぜん別の次元にいるというのがはっきりわかりますね。
高尾山はまだ行った事がないのですが、身近な場所でも自然保護と建設(発展?)という問題がおきているんですね。

サンデル教授いかれるんですか!?うらやましい。
また、お聞きになった感想をきかせてください。

伊東敬子様
 嬉しいコメントありがとうございます。大変失礼ですが、伊東様とはお目にかかったことがありますでしょうか? DEAR関係のつながりかな、と推測しておりますが。
 今後も気負わず、思うがままに、つまり第一感を大切に楽しくブログを書かせてもらいますね。

石川さん

名乗らず大変失礼しました。ごめんなさい。
はい、DEARの会員です。石川さんにはお会いしたことがないのですが、DEARのMLで、自分だけ知った気になっておりました。大変失礼しました。
石川さんと森井さんのかけあい、一ファンとして今後も楽しみに拝読させていただきます。

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