骨髄バンク支援

  • 走り続けて、骨髄バンク支援!
2016年11月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30      

« 今日の夫婦の会話 | トップページ | 変化はそこにある »

2011年5月20日 (金)

田原総一朗を知らない?

 ゼミを持って3年目になる。「石の上にも三年」というように、やっと形になって機能し始めたかなと思えるようになってきた。ゼミ生たちの誠実さにだいぶ助けられているところはあるのだが、教員が成長するのも含めて“ゼミ”なのであろう。ゼミは“学習する組織”でなくてはならない。

 自分の専門が、教育方法としてのファシリテーションでもあるので、ゼミではそうした要素を組み込んでいきたいし、ゼミ生自身にもファシリテーター的な進め方ができるようになってほしい。社会に出た際、覚えていて損はない。
 今年は積極的にそれを意識していこうと思っている(というか、どうしてこれまでそれをしてこなかったのだろう???)。さっそく先日のゼミで、ただ担当箇所をまとめて発表するだけではなく、他のゼミ生に「投げかけをしてほしい」とリクエストを出した。要は、みんなでその章の引っかかりどころについてディスカッションをしてほしいのであり、それをファシリテーションで深めてほしいのである。案の定、最初からうまくいくわけがなく、単に感想をひととおり聞いて終わってしまった(3年のゼミ)。

 これはイメージが大事だと、「田原総一朗のように、喧々囂々、議論を盛り上げていったらいいんだよ」とアドバイスを施した。本当のところ、田原氏がファシリテーターだとは言えないのだけど、とりあえずここは分かりやすさ優先である。
 しかし、分かりやすさ優先が功を奏さない。当の田原総一朗本人を誰も知らないのだ(2年のゼミ)。「『朝まで生テレビ』、観たことあるでしょ?」と訊いても誰も頷かない(「田原総一朗=朝生」なわけだから、そりゃそうだ)。こういうのは、世代間ギャップなんていうものではなく、ショックそのものだ。同時代に生きていながら、私の視角と彼らの視角は重ならないまま、つまり互いにそっぽを向きながら対話しようとしているようなものなのだ。単純に考えて、私の年齢を2で割った年齢の彼らは、私の半生分の時代の記憶が全くない。なんとか対等に話せる話題は、たかだかここ10年ぐらいの話なんだろう。そう思うと、911を話題に挙げるのはギリギリのラインだということになる。改めて愕然とする。

 そんな彼らとサブゼミなるものも今年は試みようとしている。正規のカリキュラムとは別個に、自主的に開催するゼミである。1単位にもならない私の提案に、数名のゼミ生が「参加したい!」と言ってくれた(履修の関係上、参加したくても参加できない学生もいたのは残念だった)。
 普段のゼミでも積極的に議論をしてもらってはいるのだが、それでも十分ではない。これまでゼミ運営をしてきて感じるのは、私が学生たちと接する時間と学生同士で議論する時間の圧倒的な不足である。まだまだ話足りない。まだまだ思索し足りない。まだまだもがき足りない。とにかく、互いに重ねていく時間がまだまだ足りない。そこで、せめて一コマだけでもと願望だったサブゼミを開設することに踏み切ったのだった。

 使うテキストは、『私と世界 6つのテーマと12の視点』(綾部真雄編、メディア総合研究所)。「テキスト」と書いたが、より魅力的なのは付属のDVDだ。世界各国のショートフィルム12作品が、「グローバル化」「コミュニティ」「アイデンティティ」「差別」「人と自然」「戦争と平和」の6つのテーマにカテゴライズされて収録されている。長さは5分程度のものから長くても30分弱で、非常に使い勝手がいい上に、ショートフィルムだけあって、伏線や含蓄がところどころに散りばめてある。それが、学習者への気づきの糸口、示唆となっている。対話型のゼミのようなスタイルには、もってこいの素材である。

 初回で取り上げたのは「ヒジャブ」(スペイン)という8分間のショートフィルム。
 転校してきたイスラム教徒の少女ファティマは、学校ではヒジャブを外すように教師から説得される。しかし、ファティマは頑なにそれを拒み続ける。最終的には教師の説得に折れて(吹っ切れて!?)、ヒジャブを外して教室へ入っていくことになるのだが、そこで彼女は・・・

 「私は何者?」「ルールって何?」「平等って何?」
 そんな問いを投げかけてくれる良質の映像だ。

 参加したゼミ生は、それぞれにこのサブゼミ初回90分の手土産を持ち帰ってくれた。

 「自分を貫くこと、譲ることのバランスが一番大事かな」

 「妥協も時には譲歩になる」

 また、こんなコメントもあった。

 「もやもやしたけど、面白かった。もやもやしたのはいろんな人の話を聞いて自分の意見も揺らいで、何が良いのか分からなくなったから」

 「自分はこうだ!って頑なに思っていたことに周りからいいツッコミが来たのでひとつのことにこだわらずに済んだ」

 石の上にも三年。やっと対話ができる場ができ始めてきた。双方に死角だった視角はいずれ重なりあっていくのかな。(オヤジギャグでしめているようでは、まだ先か…)

Img_1554_5
Img_1555_4

【写真上】議論をメモしたホワイトボード
【写真下】サブゼミ初回には、『私と世界』の発行に携わったメディア総研F氏とT氏にも参加していただいた。

※参考資料として下記の新聞記事のコピーを配布した。
 ・2010年4月22日朝日新聞朝刊「ブルカ禁止 女性の尊厳? 欧州で初 ベルギー法制化へ」
 ・2010年6月10日朝日新聞夕刊「仏にブルカ禁止の動き 偉大さ失った共和国」
 ・2009年6月23日朝日新聞朝刊「顔覆うブルカ 仏で禁止論議」

 

« 今日の夫婦の会話 | トップページ | 変化はそこにある »

教育」カテゴリの記事

コメント

ゼミの様子がよく伝わってきて、面白かったです。

もし、この大学学部生たちを、20歳前後の人だと
したら、たぶん、話題が重なる可能性があるのは、
せいぜいこの5年ぐらいかも知れませんね。

(ちなみに、高校生のクラスで「白熱教室」を話題に
したら、見たことのある子は皆無のようでした。同時代
のものでも、こんな感じかも)

追記:
『田原総一朗の遺言 幻のドキュメンタリー』
が、本日(5/21)のBSジャパン 夜8時~10時で
あります。「朝まで生テレビ」以外の彼の姿に触れら
れます。(前にもやってて、面白かったです。
おススメです)

人との話の仕方に日本人はかなり特徴があるなあと
よく思います。

昨夜みてたTVではタスマニアのホバートという港町
を訪ねてそこでの町の人との即興のやりとりが放送されて
いました。実に落ち着いた対応で、話の内容も充実して
おり、また、子どもの態度も立派でした。ユーモアや表現の
粋まで感じられました。

ふと比較してしまったのですが、
鶴瓶の「家族に乾杯」でも、各地を訪ねて、地元の人との
やりとりがありますが、家からでてこなかったり、しどろ
もどろになったり、過剰反応で大騒ぎだったり。。。

この差はなんだろう?と思わず考えてしまいます。

授業で発表をしてもらうと、これまた寂しいものになりがち。
議論することをケンカと勘違いしているのか避けてしまうようだし、
どういう情報があれば議論が深まったりするかなども考えた
ことがないようす。同じような発表がつまらなさそうに流れていくだけ。

これから100年たっても、日本人はこうなのかなあ?
国語の先生に意見を聞きたい気も。。。う~ん、もう、ないかも。

ひまなので、すみませんが、もう少し書かせていただきます。

長い間、
国語の時間に文学作品を読むよりも、「国語表現」というか
実際に日本語を使った表現活動をどんどんやればいいように
思っていました。

外国語としての英語では、あんなに4技能に注目しているのに、
日本語(国語)では、なぜあれほどまでに、そういった技能を
無視し続けるのか?と疑問でした。

その後「日本語教育」という分野での教師養成も大学で始まり、
今では大量の有資格者がいます。でも、その人たちが国語教育
を大きく変えそうな動きを寡聞にして知りません。

長い間、期待してきたのですが、ますますものが言えない/言わない
若者を実際に目の当たりにするにつけ、期待そのものが消えてきた
感じで、悲しいです。福沢諭吉が「弁論」を日本に根付かせようとして、
もうずいぶんたったように思うのですが。。。

う~ん、やはり愚痴になりますね。「グッチ裕三」という元気も。。没有。


 森井さん、いろいろコメントありがとうございます。森井さんが挙げていたのは、NHKの「世界街歩き」という番組ですよね。私のお気に入りの番組のひとつですよ。“BGM的”に観られる(聞き流す?)ところがいいですよね。昨日も実際、聞き流しちゃってました(笑)。
 こんな構成の番組が時々あっていいよな〜と感じます。全部が全部、高いテンションの一本調子では見飽きてしまいますよね。

そうそう、「世界・・」。「世界(正解)」です。

あの番組の面白いところは、訪れる側の視線と
つぶやきがあって、インタビューする側の現地語
での音声を完全に消して、まるで、視聴者が、
そこの人たちとじかに話しているような錯覚を
覚えさせるような手法を採用しているところだと
思います。

また、何を取材してやろうという感じもなるべく
さりげなくしているところも。

ところで、おススメした番組の中の、田原総一朗さん
と森達也さんの対談も聞きごたえがあり、おもしろかった
ですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549757/51724903

この記事へのトラックバック一覧です: 田原総一朗を知らない?:

« 今日の夫婦の会話 | トップページ | 変化はそこにある »