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2012年12月 7日 (金)

異色の芸人、おしどりマコ・ケン

 ワークライフバランスも大事だし、インプット/アウトプットのバランスも必要だ。
 教員
というものは、ややもすると、忙しさにかまけてしまい、気づくとインプットがおろそかになってしまっている。アウトプットをするだけして、学生たちからは知力も体力も吸いとられ、ぼやぁ〜っとしている間にアホになっている。

 今年度は新しい
講義をつ持たされ、必死にアウトプットしているに、やや疲弊気味になり、そしてアホになりつつあることにふと気づく。そんな折、池住さんから「大学院の授業聴講しに来ませんか?」とのお誘いメールが来た(ちなみに、私個人にだけ来たものではないのだけど)池住義憲氏は、この業界で名のしれた名ファシリテーターである。そして、「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟」の原告代表であり、2003年の愛知県知事選に立候補した経験(結果は大差はついたが次点)もある、異色の人物である。
 今でこそ、私は「ファシリテーター」という職能を持ち合わせているかのように振る舞っているが、もとはと言えば、池住さんとの出会いがその始まりになる。私が大学院生だった時に受講していた国際協力・国際教育のリーダー養成講座「地球市民アカデミア」の夏合宿に講師として来られたのが池住さんで、日間にわたって繰り広げられたワークショップでの彼のファシリテーションにはとても魅了された。今でも“新しい学びのあり方”に触れたあの時の時間の流れ鮮明に覚えている(このエピソードは『開発教育−持続可能な世界のために』(学文社 2008年)の担当章の冒頭で触れている)

 彼から来たメール
は、「コンテキスト(Context、社会の現実)にまさるテキストText、教材)はないとの書き出しに始まり、尖閣諸島領有権問題、非暴力トレーニング、死刑制度、児童ポルノ問題、米国大統領選、狭山差別事件、セクシャルマイノリティ、拉致問題、ガンジー、マーティン・ルーサー・キングjretcと興味津々なワードが立て続けに並べられていた。日程を見れば、ちょうど私が夜間の社会人向け講座を担当する曜日で、日中であれば比較的都合をつけられるスケジュール。これ幸いと、さっそく池住さんに連絡し、立教大学大学院で行われる後期の彼の授業を聴講させてもらうことにした。


Img_4513  時折、アウトプットからインプットへシフトすること、そして環境を変えてみることは、いい刺激になる。なにせ、拓殖大学
と立教大学では吸う空気すら違っているように感じるのだから。
 この時季のイルミネーションは、拓大にもあることにはあるが、ミッション系である立教大学のそれに叶うはずもなく
(左写真)キャンパスに入っているショップだって立教がオシャレなカフェのTULLY'S COFFEEであるのに対して、拓大吉野家なのだ
 その歴然たる差を感じつつ
TULLY'S COFFEEのカプチーノを片手に、講義が行われる教室へと向かった。教室に入るや否や、いつもと違う明るさにワクワク感が募る。今回行われる講義は、興味津々のカリキュラムの中でも最も楽しみにしていた「おしどりマコ・ケン」の回なのだった。

 おしどりマコ・ケンは吉本の芸人さんである。ただ、皮肉なのだが私が彼らを知ったのは夫婦音曲漫才師さんとしてではなく(ごめんなさい!)、コラムニストとしてであった。定期購読していた『DAYS JAPAN』の連載コラム「おしどりマコ・ケンの実際どうなの?」での切り込み方、そして何より「吉本の芸人がなんでここまで?」と(池住さん同様)その異色ぶりに興味を惹き、気にはなっていたのである。

Img_4508

 90分(では到底おさまりきらなかったが、ありがたいことに)の彼らの講義は、このブログで取り上げていてはきりがないので、詳細は割愛する。とにかく、それだけ1秒1秒に思いの詰まった講義だったのだ。

※ぜひウェブマガジン『マガジン9』の「おしどりマコ・ケンの脱ってみる?」を参照してもらいたい。特に最新アップの「『アフリカに原子力を推進するために、福島原発事故の汚染を住民が受け入れることが必要』というOECD/NEAアジア会議の件。」は、講義でも触れていた内容だし、総選挙にも関係してくるので、お目通しいただきたい。

 おしどりマコ・ケンの話を聴いていると、自分の講義で言っていることとも共鳴してきて嬉しくなった。

 紹介された飯館村の人たちの話で、「もう科学は信じない。みんな“答え”だけを置いていく。『これが答えです!』という先生はもういらない。『答えを探している』という先生の言葉を信じたいと思う」というのは、私が講義・講演でよく引き合いに出すグローバル教育の第一人者ディビッド・セルビー氏の「"I don't Know"と言える先生でありたい」という言葉とオーバーラップする。

 「マスコミは“自主規制”がかかっている」とのコメントは、メディア・リテラシーの授業で私も指摘している。それは、小さな自主勉強会に足を運んでくれた森達也氏からの言葉でもある。そこに込められたメッセージは、呪縛さえ解ければ社会は変わる(しかも自分たちから!)というものである。
 
 こうした重なりの実感は「思いは繋がっているんだ」との後押しに
る。ただ、その一方で、なかなかそれが力になっていかないという甚だしいもどかしさにもなっている。
 
最後、その思いをおしどりマコ・ケンにぶつけてみた。そして、(他に聴いているみんなも不思議に思っているだろうとお節介ついでに彼らがどうして吉本に居続けられるのかということについても。

 面白かったのは、ある提案。「みんな、テレビや雑誌でやる今日の占い』『今週の運勢のような占いものが好きなので、「今日のラッキーカラー」とかだけでなく、「今日のラッキー社会問題」とか載せたらいい」というもの。
 きっとイメージするとこんな感じだろう。例えば、「
牡羊座のあなたはのラッキー社会問題は『尖閣諸島領土問題』。独りよがりにならないで、みんなの意見も聞いて考えてみてね。留学生が近くにいたら絶好のチャンス!」とか、「双子座のあなたは『アラブの春』。もう過ぎ去ったニュースなんて思わないでね。だって、現地ではまだまだ解決してない問題なんだから♪」ってな感じだろうか。

 半分冗談半分マジなこの提案は、あまりに無頓着で思考停止になった日本人への警鐘であると受け取った。
 
 お二人は、震災前、「売れてやるぅ〜!」との野望を持って大阪から東京に乗り込んできた。しかし、震災直後、芸人の先輩がハッピを着て枝野さんの隣で「大丈夫ですよ」と言っていたのを見て、「テレビで売れるとはこういうことなんだ…」と愕然としたのだという。だから、その路線に乗っかれないことにはまるで未練ないように見えた

 「自分たちがここで吉本を辞めてしまったら、後に続く同じ志を持った後輩芸人が入ってこられなくなる」
 
 だから、吉本の芸人という立ち位置は変えずに、おしどりマコ・ケンは今の活動を続けている。そのタフさぶりには、ただただ感服する。とことん応援したくなる二人だから、今度は劇場に足を運んでみようと思う

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コメント

リンクされていたのも読ませてもらいました。
勉強になりました。いろいろ教えてください。

教師はoutput を求められるので、input も
しやすいと思います。
outputしなくてよくなると、input も枯渇して
いきがちになります。

でも、さすがに同じoutput を繰り返していると、
アウトプットもアウトですね。
確かにアホプットになるかも。

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